「人が集まる場」コワーキングスペースとカフェを両方やってみてわかったこと(場づくりを仕掛ける側の視点から)

※この記事は、コワーキングAdvent Calendar 2015の6日目の記事として書きます。5日目のコワーキングスペース・コンセントの平野隆則くんから受け取ったバトンです。

和歌山県和歌山市にあるコワーキングスペース・コンセントを運営スタッフその1、小泉です。コンセントは、コワーキングスペース茅場町 Co-Edoの田中弘治さんのコワーキング世代分類でいうと、「遅くにできた第一世代型」に分類されるのではないかと思います(たぶん)。2013年の6月にスタートしたので、始まってからおよそ2年半が経ちました。

スタート当初、地方のコワーキングスペースによくある問題意識として「地方からおもしろいことをする」とか「まちを盛り上げる」、そしてそのために「”人が集まる場”をつくりたい」という気持ちがわれわれにはありました。周りに訊いてみると、似たような意識で「場づくり」を計画されている人が意外に身近に多いことに気づきました。それは、コワーキングスペース、シェアオフィス、カフェ、バー、ゲストハウス、イベントスペース、まちなか農園、シェアハウスや共同住宅、シェアキッチン、マイクロライブラリーなど、いろいろな事業の形をとっているようでした。そして事実、僕たちはコワーキングスペースのほかに、シェアキッチン&ブックカフェPLUGなどいくつかの場づくりにチャレンジすることになりました。

今回は、いろいろな形で目指される「人が集まる場」ってなんだろう?というのを考えながら、コワーキングスペースとカフェを中心に、それぞれの場の特徴を比較してみたいと思います。

 

小さなコミュニティって要るよね

これからの暮らしのなかで「小さなコミュニティ」をつくるといいよね、というのはよく言われることです。それは近所で顔の見える関係であったりとか、困ったときに助け合えるゆるいつながり、あるいは人生を豊かにする趣味の仲間といったもので、こうした「小さなコミュニティ」づくりの起点になるのが「人が集まる場」ではないかと思います。

こうした「場」について考えるにあたり、「どんな人が集まっているか/どんなコミュニティができているか」という結果の部分と、「どんな機能/価値が提供されているか」という過程の部分をきちんと分けて考えると、「場」を比較しやすいのではないかなと思います。さっそくやってみます。

 

コワーキングスペース×「人が集まる」

【機能】 電源やWiFi、プリンタなど、オフィスとしての環境を備えた共同スペースで、勉強会やセミナーも開催
【対象】 コワーキングスペースと相性のいい業種(IT系・ライター系・企画系など)やノートパソコン1台でどこでも働けるような働き方の人やIターンの人が自然と集まってくる。
【コミュニティの質】 勉強会などを通じて、同業者や異業者のつながり=コミュニティがつくりやすく、また利用者もそれを求めている。

まず第一に仕事をする場であるコワーキングスペース。「ビジネスモード」の人が集まるので、ビジネス上のつながりや、スキルを補い合う仲間が作りやすいのが特徴です。「世の中に何かあたらしい価値をつくりたい、仕掛けていきたい、というときに仲間を作りやすいところがコワーキングスペースの良いところです。
反面、特に地方ではマーケットそのものが大きくなく、またカフェやゲストハウスなどに比べて「仕事場」としての機能そのものを広告しにくい(カフェであれば食べログや雑誌、ゲストハウスであれば旅行サイトのような決定的な広報媒体が無い)ため、たくさんの人に利用してもらうのに苦労する場合があります。おそらく、セミナーや勉強会を通じて場を訪れてもらい、その人たちに利用者になってもらうというのがコワーキングスペースの集客の王道なのだと思います(やや余談)。

 

カフェ×「人が集まる」

【機能】 食事をする、おしゃれでゆったりした時間をすごす
【対象】 コワーキングスペースより女性比が高く、年代の幅が大きい
【コミュニティの質】 しっかりとしたコミュニティはできにくいが、不特定多数の人が訪れやすい

カフェは、コワーキングスペースと違って、「リラックスモード」の人が来る場所です。これはどういうことかというと、ひとつには、全然違う客層が来るということ。コワーキングスペースよりも女性が多めで年代に幅がありますし、仕事目的じゃない「オフの人」が多くやってきます。もうひとつは、同じ人であってもビジネスのときとプライベートのときでは考えることが違うということ。コワーキングスペースでは商品やサービスの提供者としての視点が、カフェでは利用者・消費者としての視点が強くなるようです。

「人が集まる」的な部分から考えると、ノージャンルに人が集まるのでコミュニティを育てにくい反面、「発信や発表の場になる」というところがおもしろいところです。カフェの店内は、多くの人が訪れるので物販もできるし、壁は作品の発表の場になります。みんなもっともっと、カフェを発信の場として使ったらいいと思います。

 

他にも「人が集まる場」はたくさん

「人が集まる場」として最近トレンドなのがゲストハウスかもしれません。機能としては、安い寝床と、地元情報の提供。若い旅行者や外国人観光客に人気が高いようです。コミュニティ面で注目すべきは、外の人と中の人、旅人と地元の人、風の人と土の人…言い方はいろいろですが、その強力な接点になる点でしょう。地元じゃない人が常にいるような場所は、まちになかなかありません。逆に、接点になりうる空間をしっかり設計しておかないと、ふつうの宿になってしまうおそれがありそうです。

イベントスペースも人が集まります。機能としては場所貸しで、そこで行われるイベントごとにコミュニティが分かれていますが、空間運営の仕方によっては、コミュニティ横断的な交流をつくることが可能となります。また、きわめて安価にスタートできるのが最大のメリットですね。場合にもよるのですが、挙げたなかでは一般に、イベントスペース<コワーキングスペース<カフェ<ゲストハウスの順に、はじめるための初期費用が大きくなっていく感覚があります。

今回は考える余裕がないけれど、ほかにも冒頭に出てきたいろいろな種類の空間や、あるいは情報誌やラジオなども、それぞれにコミュニティをつくっています。「人が集まる場」のバリエーションは本当にたくさんあるんだなと思います。

 

コミュニティの交流でつくられるハイパーコミュニティ

ここまで考えてみると、こうしたそれぞれ特徴のある「場」を連携させていくことで、もっともっと新しい価値が生み出せるということに気がつきます。ビジネスやサービスを具体的につくっていくコワーキングスペース。サービスを提供する場としてのカフェ。外部との接点になるゲストハウス。コミュニティそのものを直接的に表面化していくイベント。運営者の色もすごく出てきます。こうしたそれぞれの場や空間としての特徴をふまえて、そこにできてくるコミュニティを交流させていくことで、たとえばコワーキングスペースでつくった商品をカフェで販売してみたり、外から人を呼んでゲストハウスに宿泊してもらったりといったことが可能になりますし、それがまちをおもしろくしていくのだと思います。

というわけで、コワーキングスペースとカフェを中心に、「人の集まる場」についてざくっと考えてみました。コワーキングスペースをはじめとする「場づくり」をやってみたい人の、何かの手がかりになればうれしいです。

さて、コワーキングAdvent Calendar 2015の7日目はhiroseさんです。よろしくお願いします!(アドベントカレンダーって楽しいですね)